
ポリネシア人のふるさと、ライアテアとタハア-楽園タヒチの注目スポット
- 2018.09.18
- カテゴリ:お知らせ
初の世界遺産、「タプタプアテアのマラエ」
バニラの名産地やラム酒の蒸留所も
- 2018年9月14日(金)
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タヒチ観光局は先ごろにタヒチ島で開催したトラベルマート「パラウ・パラウ・タヒチ(PPT)2018」で、参加した旅行会社を対象にファムツアーを実施し、ボラボラやモーレア以外の離島として注目されているライアテア、タハアの各島を視察した。ライアテア島にはタヒチ初の世界遺産「タプタプアテアのマラエ」があり、タヒチの文化をアピールするためのヒストリカルスポットとして脚光を浴びつつある。
ポリネシアトライアングルの中心、ライアテア
ライアテアの中心地、ウツロア フレンチポリネシア、通称タヒチは5つの諸島群、118の島からなる。ソシエテ諸島の中でタヒチ島に次いで大きいのが148平方キロメートルあるライアテア島で、パペーテから飛行機で約45分。緑に覆われ、川からの水が流れ込む沿岸部はサンゴが育ちにくく、水深が深いため、ヨットやクルーズ船の恰好の寄港地となっている。珍しい動植物が生息し、なかでも滅多に見られない奇跡の花ティアレ・アペタヒはこの島だけに咲くという。中心地はタヒチ第二の都市ウツロアで、風情あるコロニアル調の建物が残される。
タプタプアテアのマラエを説明するガイドのパリエンテ氏。ポリネシア文化の研究家でもある ライアテア島は、最初にポリネシアの先祖が辿り着き、ハワイ、ニュージーランド、イースター島を結ぶ文化圏、ポリネシアントライアングルの中心地。およそ1000年前に島南東部のタプタプアテアに作られた石造りの祭祀場「マラエ」には、各島々に分散したポリネシアの人々が巡礼にやってくるなど「ポリネシアの人にとってエルサレムのような場所だった」とガイドのタヒアリイ・ヨラム・パリエンテ氏は説明する。
18世紀以降、キリスト教への改宗で放置されてきたが、1952年から政府による保護が始まり、2017年、周囲の景観も含めたポリネシアの文明として、世界遺産に登録された。復元事業にはハワイ・ビショップ博物館の故・篠遠喜彦氏が貢献したことも知っておきたい。
ライアテア・ロッジ・ホテルのプレミアルーム 滞在するには、姉妹島のタハア島に船で渡るか、ライアテア島内にある3ツ星ホテルを利用する。それらの多くはフランス人が経営するペンションスタイルで、インテリアにはオーナーの趣味が色濃く反映されている。シュノーケリングなど自然を生かしたアクティビティが楽しめるほか、たいていは地元の新鮮な魚をメインに使ったポリネシア風のフランス料理を提供し、アメリカ人観光客が多いために英語にも対応している。
なかでも空港から車で10分、島の北西部にあるコロニアル調のライアテア・ロッジ・ホテル(15室)は、後ろは山で目の前が海というロケーション。カヤックでモツ(小島)に行くことができ、ホテル前の環礁内にはクジラもやってくるという。レンタル自転車でウツロアまで30分。オーナーは「タハアに行く前後に泊まるのにちょうどいい」と提案する。
食事のプレゼンテーションもかわいい(オポア・ビーチ・ホテル) 島の南部、タプタプアテアからさらに車で南に10分にあるオポア・ビーチ・ホテルは白で統一した9棟のコロニアル調バンガローが並ぶ。天蓋付きのベッド、珊瑚や貝の装飾などインテリアが可愛らしい。モツでシュノーケリングもでき、新鮮な魚を使った料理は盛り付けもきれいで、女子のFITに受けそうだ。
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ポリネシアンの素朴な生活が残るタハア
緑が豊かなタハア島のハアメネ湾の眺め タハアはかつてはライアテアとひとつの島だったのが沈降してできたため同じ環礁にあり、ライアテア島からは船で向かう。東京都の足立区とほぼ同じ53平方キロメートルの広さに郵便局と銀行がそれぞれ2つ、交番はひとつだけ。人口5000人の島の人々は誰かとすれ違うたびに挨拶を交わすなど昔ながらの光景を残す。タヒチのお祭り、ヘイヴァの準備をしていた人たちが日本人とわかると「オハヨー」と声をかけてくれるなど、素朴でフレンドリーだ。
バニラツアー社のプランティエ氏。バニラの歴史と栽培方法を説明 バニラアイランドと呼ばれるタハアはバニラの産地。「タヒチのバニラ生産量の8%がタハア島産で、タヒチにだけ育つタヒチアンバニラはリコリス(甘草)の独特なアロマがあり、世界中のパティシエから絶賛されている」とバニラツアー社のノエ・プランティエ氏は説明する。島には100以上の小さなバニラ栽培地があるが、人の手による受粉から収穫を経て乾燥、熟成と手間がかかり、世界全体のバニラ生産量のうちタヒチ産はたったの1%ほどという貴重さだ。
ペリペリ蒸留所ではテイスティングも可能 西海岸のタプアムの港からも近いところにパリパリ・ラム酒蒸留所がある。創業して3年の新しい施設だが、サトウキビから香り高いラム酒を生産しており、醸造やバーボン樽での熟成などの工程を案内してくれるほか、バニラの乾燥や発酵などの過程もみられる。ラム酒だけでなく地元産のバニラはじめ、石鹸やオイル、虫除けなども販売しているのでタハア島の貴重なお土産が手に入る。
地元の木材を多用し、温かみのあるル・タハアの部屋 近年タハア島へ行く日本人が増えているのは、ル・タハア・アイランド・リゾート・アンド・スパ(60室)の人気によるもの。タハア島西側のモツにある同リゾートはライアテアの空港から専用ボートで約40分。建物は地元産の材料を6割使い、ポリネシアの伝統的な建築様式による温かみのある造りで、タヒチ唯一のルレ・エ・シャトーメンバー。池に面したスパも開放感があり、歩いていけるコーラルガーデンでは滞在中何回でもシュノーケリングが楽しめる。日本人ゲストリレーションがいるのも安心だ。
ファレ・ペア・イティのオーナー夫妻。合気道を教えていた親日家 タハアの島にはペンションタイプの宿もある。タハア島の北部、行政施設があるパシオから車で約15分にあるファレ・ペア・イティ(6室)は合気道を教えていた親日派のフランス人が経営するペンションで、ポリネシアスタイルの6つのバンガローにはジャグジーが備わる部屋もある。新鮮な魚を使った料理のほか、ガーリックが効いたサシミ用のタヒチアンソースが絶品。スノーケリングやモツバーバキューなどのアクティビティが用意されているほか、小さい宿ながらタヒチアンディナーショーも催され、ウエディングセレモニーもアレンジできる。
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ボラボラ、タヒチ島に新しい動きも
コンラッド・ボラボラ・ヌイ・リゾート&スパのプレジデンシャルスイート。タヒチ初の2階建て水上ビラ 視察ではボラボラやタヒチ島も訪問した。ボラボラ島では2017年にヒルトン・ボラボラがコンラッドブランドとなってアップグレード。客室にBluetoothなど最新設備が備わるなど機能的で内装もモダンになり、タヒチ初のカタマランネットを設置、大きな窓から見渡せる水平線の眺望も開放感に溢れている。プライベートのモツは200人収容するなど大型グループにも対応するほか、島を形成した活火山の名残りである聖地「ブラックロック」もパワースポットとして敷地内に存在。日本マーケットは2番目に多いことから、ゲストリレーションも日本人3人が対応している。
床からラグーンが見えるル・メリディアン・ボラボラのチャペル 一方、オテマヌ山が正面に見えるバーをはじめ、最高のロケーションにあり、ボラボラ島の王道ともいえるのがル・メリディアン・ボラボラ。水上コテージの大きなガラスの床、ヘレミティチャペルのガラスのバージンロードは同リゾートの大きな特徴でもある。ゲストが救ったカメの保護から、独立した保護施設に発展したタートルセンターにはタッチプールやミニ水族館があり、ゲストは無料で入場できる。カメと一緒に泳げたり、アクティビティも多彩だ。日本人ゲストリレーションも勤務している。
セントレジスの日本人バトラー、マサヒロさんがお出迎え さらに、ボラボラ島最高級ホテルのひとつがセントレジス・ボラボラで、スパを囲むように配置された人工のラグナリウムは透明度の高い水にカラフルな魚が棲み、スノーケリングが楽しめる。アメニティも一流で、ジムやプールは24時間営業であるほか、バトラーサービスも日本人には日本人バトラーが対応するんどサービスもきめ細かい。アメリカ発ブランドということもあり訪問客の8割がアメリカ人、アジアでは中国が全体の15%、それに日本が続くという。
ミス・タヒチお披露目など大型イベントにも対応するインターコンチネンタル・タヒチ・リゾート 新しい素材としては、4月からシープレーンの運航が始まっており、ハート型に見えるツパイ島のシーニックフライトが可能になっているほか、国内線フライトの代わりにボラボラとライアテア間など島間の移動にも使える。
なお、タヒチ島では、水上バンガローもありリゾートステイもできるインターコンチネンタル・タヒチ・リゾートは年末にかけてリノベーションを実施中。なお、日本人の割合は1割で、平均日数が1.7泊という。
サンセットクルーズはボラボラはじめタヒチ、モーレアの各島でも体験できる 日常とは全く別世界のエメラルドグリーンのラグーン、濃く深い緑に覆われた山々、国花ティアレの甘い香りが織りなす南国の楽園タヒチ。日中は自然を全身で感じ、夜は星を眺め、波の音を聞きながら眠りにつくぜいたくな時間はタヒチならでは。ここに現地の人との触れ合い、ポリネシアの歴史に触れる機会が加われば、競合との差別化にもつながる。手つかずの自然、素朴な暮らし、ペンションでの滞在など、ライアテアやタハアのような島にハネムーン層以外に層を広げるための素材が眠っているように見える。
取材協力:タヒチ観光局
取材:平山喜代江 - 情報提供:トラベルビジョン
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